独学で学ぶFP2級|タックスプランニング(4)
FP2級の学習(独学)に役立つ無料テキスト(教科書)を作成しました。このテキストはFP2級試験の幅広い範囲を網羅しており、効果的な学習の参考資料として活用できます。ぜひ、FP2級合格のために役立ててください。また、記事には、独自の試験対策コメントも入れていますので参考にしてください。
FP2級試験範囲を順に進めていきます。この記事では以下を取り上げます。
- 所得控除(1)
- 所得控除(2)物的控除
- 所得控除(3)人的控除
所得控除(1)基礎
所得控除とは
所得控除とは、所得金額から一定の金額を差し引くことができる制度です
各所得を合算した総所得金額から、所得控除を引いた額が課税所得金額となります
課税所得金額 = 総所得金額 ー 所得控除額
所得税額は、これに税率を乗じて計算することになります
課税所得金額の計算式は覚えておきましょう
所得控除は税金の計算の基準となる所得を控除するものです。税控除は直接税金が控除されます。この2つの違いを理解しておきましょう。
所得控除の種類
所得控除は15種類あり、物的控除7種と人的控除8種類に分かれる
- 物的控除
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、寄付金控除 - 人的控除
基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、ひとり親控除、寡婦控除、勤労学生控除、障害者控除
物的控除は物品や支出に関する控除、人的控除は個人や家族の状況に関する控除です
所得控除(2)物的控除
雑損控除
雑損控除とは、本人、または、生計を一にする配偶者やその他の親族で総所得金額が48万円以下の者が、家具や現金など「生活に通常必要となる資産」に損失があった人が受けられる控除
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然現象の異変による災害
- 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
- 害虫などの生物による異常な災害
- 盗難
- 横領
下記の2つのいずれか多い方を控除可能
- 雑損失 ー 総所得金額等の額 × 10%
- 災害関連支出 ー 5万円
控除しきれない雑損失がある場合は、翌年以降3年間繰越可能
医療費控除
医療費控除は、通常の医療費控除かセルフメディケーション税制の選択式
医療費控除
本人や生計を一にしている配偶者、その他親族(所得制限なし)のために支払った医療費の一定額が控除される。
支払った年の控除なので、年末に治療をうけ、翌年に支払った場合は翌年の控除となります。
- 医師・歯科医師による診療・治療費
- 医師の処方箋をもとに購入した医薬品の費用
- 通院に必要な交通費(公共交通機関での交通費)
- 入院の際の部屋代や食事代
- 治療のためのリハビリ・マッサージ費用
- 義歯やインプラントの費用
- 人間ドック(健診で疾病が発見され、治療した場合)
- 医師への謝礼金
- 健康診断の費用、人間ドックの費用(異常なしの場合)
- 自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代
- 治療を受けるために必要としない、メガネや補聴器等の購入費用
- 美容整形費用
- 疾病予防や健康増進目的のサプリメントなど
- 差額ベット代
医療費控除額 = 支払った医療費 ー 保険金等で補てんされる金額 ー 「総所得金額等の5%」と「10万円」の低い方
※控除額の上限は200万円
セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制とは、対象となる特定一般用医薬品等(スイッチOTC医薬品等)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができる制度
医療費控除額 = 特定一般用医薬品等購入費の合計額 ー 12,000円
- 特定一般用医薬品等購入費の合計額は保険金で補てんされる部分を除く
- 上限は88,000円
セルフメディケーション税制の対象である一部の医薬品には、セルフメディケーション税制 共通識別マークがついています。
式からわかるように12,000円を超えた場合に控除されます。
先に書いたように、医療費控除とセルフメディケーション税制は選択式です。
社会保険料控除
社会保険料控除とは、本人、または、生計を一にする配偶者やその親族の負担すべき社会保険料(健康保険、厚生年金保険、国民健康保険、国民年金など)を支払った場合に、その全額が社会保険料控除として控除される制度
生命保険料控除
生命保険料控除は、一般の生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の3つがある。控除額の上限は以下の通り。詳しくは、「B.リスク管理|生命保険」を参照のこと
2011年12月31日以前の契約
所得税 | 住民税 | |
一般の生命保険料控除(上限) | 5万円 | 3.5万円 |
個人年金保険料控除(上限) | 5万円 | 3.5万円 |
合計 | 10万円 | 7万円 |
2012年1月1日以降の契約
所得税 | 住民税 | |
一般の生命保険料控除(上限) | 4万円 | 2.8万円 |
個人年金保険料控除(上限) | 4万円 | 2.8万円 |
介護医療保険料控除(上限) | 4万円 | 2.8万円 |
合計 | 12万円 | 7万円 |
地震保険料控除
地震保険料控除とは、地震保険の保険料を控除する制度。火災保険料は控除対象にならない
自己および生計を一にする配偶者やその親族が保有する居住用家屋、およびその動産を対象とした地震保険・共済が控除の対象
店舗併用住宅の場合、建物全体の90%以上が居住用の場合、全額が控除対象となる
控除額は年間払込保険料の全額(最高5万円まで)
リスク管理編(3)|損害保険(7)税金も参照のこと
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除は、本人が小規模企業共済等の掛金を支払った場合に、その全額が控除できる制度。本人分のみで配偶者等の家族分は控除できない
- 小規模企業共済の掛金
- 地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金
- 企業型確定拠出年金または個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金
寄付金控除
寄付金控除は、国や地方公共団体、特定公益増進法人(赤十字など)に対して特別寄付金を支出した場合に控除できる制度。確定申告が必要
寄付金控除額 = 特定寄付金学または総所得金額の40%のいずれか少ない方の金額 ー 2,000円
ふるさと納税
ふるさと納税は、自身の選んだ自治体に対して寄付を行なった場合に、寄付額のうち2,000円を超える部分について所得税および住民税から控除を受けることができる制度
ふるさと納税ワンストップ特例により、寄付を行なった自治体が5カ所までであれば確定申告が不要となる
ふるさと納税の所得税の寄付金控除の計算は寄付金控除と同じです。残りは住民税側で控除されます。
所得控除(3)人的控除
基礎控除
基礎控除は無条件で受けることができる控除。合計所得金額により控除額が異なる(2,500万円を超えると0円になる)
合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
配偶者控除
納税者に控除対象の配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる(3段階)。ただし、本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者所得控除を受けることはできない。
配偶者の要件は、生計を一にすること、合計所得金額が48万以下(給与所得のみの場合は、103万円以下)の者
給与所得のみの場合は、年収が1,195万円越えが配偶者所得控除の対象外となります(給与所得控除195万円を引くと1,000万円になるため)
納税者の合計所得金額 | 控除額 | |
---|---|---|
一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者※ | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超〜950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超〜1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
- 配偶者の合計所得金額が48万円(給与収入のみの場合は103万円)を超える場合
- 青色事業専従者、(白色)事業専従者となっている場合
- 納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合
配偶者特別控除
配偶者の合計所得金額が48万円を超えたら控除がいきなり0(ゼロ)になるわけではなく、133万円以下まで段階的に所得控除を受けることが可能。48万超〜133万円以下の控除を配偶者特別控除という
納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は対象外
納税者本人の合計所得金額と配偶者の合計所得金額により控除額が細かくわけられているが1万円〜38万円の控除を受けることができる
納税者本人の合計所得金額 | ||||
---|---|---|---|---|
900万円以下 | 900万円超 950万円以下 | 950万円超 1,000万円以下 | ||
配 偶 者 の 合 計 所 得 金 額 | 48万円超〜95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超〜100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 | |
100万円超〜105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 | |
105万円超〜110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 | |
110万円超〜115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 | |
115万円超〜120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 | |
120万円超〜125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 | |
125万円超〜130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 | |
130万円超〜133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
試験対策としては、私がFPの勉強をしていた頃と違い、控除額の表が複雑になっていますので、出題される場合は、おそらく表が与えられると思います。
とりあえず、1万円〜38万円という最低と最高を覚えておけば良いと思います
扶養控除
扶養控除は、納税者本人に控除対象となる扶養親族がいる場合に控除される制度。
扶養親族の要件は、配偶者以外の16歳以上の不要親族で納税者本人と生計を一にしている、合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は、103万円以下)の者
扶養親族 | 控除額 |
16歳未満 | 0円(なし) |
16歳以上19歳未満 | 38万円 |
19歳以上23歳未満(特定扶養親族) | 63万円 |
23歳以上70歳未満 | 38万円 |
70歳以上(老人扶養親族) | 本人または配偶者の直系尊属で同居の場合 58万円 同居でない場合 48万円 |
- 配偶者の合計所得金額が48万円(給与収入のみの場合は103万円)を超える場合
- 青色事業専従者、(白色)事業専従者となっている場合
ひとり親控除
ひとり親控除とは納税者本人がひとり親である場合に受けることができる所得控除
ひとり親控除の要件(すべてに該当する者)
- その者と事実上婚姻関係と同様の関係にあると認められる一定の者がいないこと
- 総所得金額等が48万円以下の生計に一にする子がいること
- 合計所得金額が500万円以下であること
ひとり親控除の控除額は35万円
寡婦控除
寡婦控除は、納税者本人が寡婦である場合に受けることができる所得控除
寡婦控除の要件(いずれかに該当)
- 夫と離婚した後婚姻しておらず、扶養親族がいる者で合計所得金額が500万円以下
- 夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の者で、合計所得金額が500万円以下の人(この場合は扶養親族の要件はない)
寡婦控除の控除額は27万円
勤労学生控除
勤労学生控除は、納税者本人が勤労学生である時に受けることができる所得控除
勤労学生の要件は合計所得金額が75万円以下、かつ、自己の勤労によらない所得が10万円以下の者
勤労学生控除の控除額は27万円
障害者控除
障害者控除は、納税者本人または配偶者、扶養家族の誰かが障害者である場合に受けることができる所得控除
区分 | 控除額 |
---|---|
障害者 | 27万円 |
特別障害者 | 40万円 |
同居特別障害者 | 75万円 |