独学で学ぶFP2級|リスク管理編(2)
FP2級の学習(独学)に役立つ無料テキスト(教科書)を作成しました。このテキストはFP2級試験の幅広い範囲を網羅しており、効果的な学習の参考資料として活用できます。ぜひ、FP2級合格のために役立ててください。また、記事には、独自の試験対策コメントも入れていますので参考にしてください。
FP2級試験範囲を順に進めていきます。この記事では以下を取り上げます。
- 生命保険(1)
- 生命保険(2)保険商品
- 生命保険(3)税金
- 生命保険(4)法人の契約
生命保険(1)
生命保険の用語
以降の説明で利用される用語です。
用語 | 説明 |
解約返戻金 | 解約した場合に払われるお金 |
給付金 | 入院・手術などの時に支払われるお金 |
告知 | 契約に影響を及ぼす可能性がある重要事項を知らせること |
被保険者 | 保険の対象となる人。保険契約には原則、被保険者の同意が必要 |
責任開始日 | 契約の保障が開始される日 |
特約 | 主契約(基本取扱契約)の内容に付加して契約するもの。主契約を解約すると、特約も消滅する |
保険金 | 被保険者の死亡・高度障害などで支払われるお金 |
保険者 | 保険事故が生じたときに、保険金を支払う義務を負う者。通常は保険会社のこと |
保険金受取人 | 保険金の受け取る人 |
保険契約者 | 保険を契約を行っている人 |
保険料 | 契約者が支払うお金 |
保険の原則
大数の法則
確率・統計学における基本定理。サイコロの目も、試行回数を増やせば各目の出現率が確率に収束するという考え方。
保険の場合は、過去のデータの統計をとることで、年齢別の死亡率などを予測し、保険料を算出するのに使われる
収支相当の法則
$払込保険料総額=支払保険料総額+経費$となるように保険料を算出する。
つまり、保険会社が受け取る保険料(+経費等)の総額が、支払う保険料と等しくなるように保険料を算定する原則のこと
保険料の構成
保険料の構成
保険料は、純保険料と付加保険料により構成される。
- 純保険料
保険金の給付財源に充てられる部分で、予定死亡率・予定利率を元に算定 - 付加保険料
保険会社が保険契約を維持・管理するための経費に充てられる部分で、予定事業費率に基づいて算定
基礎率
上の説明の中の、「予定死亡率」・「予定利率」・「予定事業費率」の意味は以下の通り。
予定死亡率 性別・年齢別の死亡率の予測から算出。一般的に女性の方が死亡率が低いので終身保険の保険料は女性の方が安く、年金保険の保険料は女性の方が高い
予定利率 保険料を運用するときの想定利回り。予定利率が高く設定されると保険料は安くなり、低く設定されると保険料は高くなる
予定事業費率 保険会社の運営費。予定事業費率が高くなれば保険料も高くなる。保険会社によって運営費は差が生じやすい
試験対策としては、高くなる・安くなるを覚えるのではなく、なぜ高くなるのか・安くなるのかを感覚的に理解しましょう。
豆知識:ネット専業の保険会社が比較的安いのは、人件費などが低くて済むため(予定事業費率が低め)。
剰余金・配当金
保険の余剰金
決算の結果に生じる余りのお金を余剰金と言います。
保険料は、予定死亡率、予定利率、予定事業費率という3つの予定率をベースに計算されていますが、予定通りになるとは限りません。
このため、決算時に利益が生じることがあります。
予定死亡率の差から生じる利益を死差益、運用利率の差によって生じる利益を利差益(りさえき)、運営費の差によって生じた利益を費差益(ひさえき)と呼びます。
保険の配当金
余剰金は、配当金として契約者に分配されます。
保険には「有配当の保険」と「無配当の保険」があります。
有配当保険のタイプ
- 3利源配当タイプ
死差益、利差益、費差益の3つの差益を集計し、配当金として配当する。毎年配当型が主流 - 利差配当タイプ
利差益を一定年数ごとに通算して余剰が生じた場合に、配当金として配当する。5年ごとの利差配当型が主流
契約手続き・責任開始日
契約前
保険会社は、契約上の決まりをまとめた約款の重要な事項・諸手続きを説明した契約のしおりを約款と合わせて契約前に交付する。
契約の承諾・責任開始日
保険契約は、申込書の提出から、以下のステップで進む。
責任開始日とは保険契約で保険金などの支払い義務が保険会社に発生する日のこと。保険会社の承諾すれば、「申込書の提出」「告知(診査)」「初回保険料の支払い」までが完了した日からが責任開始日となる。
告知
保険に加入する場合、契約者は保険会社が求める事項について告知する必要がある。
これを質疑応答義務という。
「故意」または「重大な過失」によって、事実を記入しなかったり、事実とは異なることを告知した場合、「告知義務違反」となり、発覚した場合は契約を解除されることもある。
保険会社は契約を解除できないケース
- 時効 責任開始日から5年以内に保険金・給付金の受取事由が発生しなかった時、保険会社が告知義務違反の事実を知ってから1ヶ月以上経過したとき
- 過失 契約締結の時点で保険会社が解除の原因となる事実を過失によって知らなかったとき
- 不告知教唆 保険募集人が正しく告知をすることを妨げたり、事実でないことを告知するように勧めたとき
保険金の支払い
原則、請求に必要なすべての書類が保険会社に到着した日の翌営業日から数えて5営業日以内が一般的
試験対策としては、ここは保険料ではなく、保険金の支払い期限です。勘違いしないように。
保険料の払込み方法
保険料払込期間には、全期払い、有期払い(短期払い)がある。
全期払い
保険期間(保証期間)が終わるまで保険料を払い込む方法。
保険期間=保険料払込期間
有期払い(短期払い)
保険料の払込期間が一定期間までで、期間終了後は保険料の支払いがなくなる
保険期間>保険料払込期間(払込期間の方が短い)
払込方法には、年払い、半年払い、月払い、前納払い、一時払いがある。一般的に、まとめて払い込む方法をとるほど保険料が割安になる。
年払い、半年払い、月払い
毎年、半年、毎月ごとに払い込む方法
前納払い
払込期日が来ていない保険料の一部または全額を、あらかじめ払う方法
払込時期が来ていない保険料は返還される
所得税控除(生命保険控除)を毎年受けられる
一時払い
保険期間全体の保険料を契約時に1回で払い込む方法
未経過分の保険料は返還されず、所得税控除(生命保険控除)は最初の1回のみ受けられる。
試験対策としては、払込期間、払込方法に種類があることを覚えておきましょう。また、前納払いと一時払いの違いは理解しましょう。
払込猶予・失効と復活
払込みがない場合の猶予期間
保険契約を有効に継続するには、期日までに保険料を払い込む必要がある。払込が遅れると契約が失効してしまうが、一定の猶予期間が設けられている。
一般的な、猶予期間は以下の通り
払込方法 | 猶予期間 |
月払い | 払込期月の翌月1日から末日まで |
半年払い・年払い | 払込期月の翌月の1日から翌々月の月単位の契約応当日まで |
契約の失効と復活
保険料の払込期月を過ぎても保険料を払い込まなければ猶予期間になり、猶予期間もすぎて自動振替貸付もできなくなれば保険契約は失効となる。
契約が失効した場合でも、一定期間内であれば契約を元に戻すことができる(復活)。復活に際しては、告知(診査)、失効期間中の保険料の支払いが必要(生命保険会社によっては所定の利息の払込みも必要)となる
保険料の立替制度
自動振替貸付制度
猶予期間に保険料の払込みがなかった場合に、解約返戻金の範囲で自動的に保険料を立て替えする制度
契約の見直し
契約転換制度
現在契約中の保険の積立部分や積立配当金を転換(下取り)して、転換価格とし、新しい保険の保険料の一部を支払う制度。
基本転換 転換価格を終身保険に充当する方法
特定転換 転換価格を定期保険特約に充当する方法
比例転換 転換価格を一定の割合で終身保険と定期保険特約に充当する方法
契約転換制度のポイント
- 保険金額、保険種類、保険期間、特約等を全て変更できる
- 転換時の年齢や保険料率で再計算される
- 再度、告知(診査)が必要になる
- 転換後新たにクーリング・オフが適用できる
特約の中途付加
現在契約している保険(主契約)に、途中で特約を付加することを特約の中途付加と言います。特約を付加することで、保障を充実させることができます。主契約の保障内容や保険期間は変わらない。
保険金減額制度
主契約や特約の補償額を減らすことで、払い込む保険料を抑える制度。保障の一部を解約したものとして取り扱われるため、解約返戻金を受け取れる場合もある。
払済保険への変更
払済保険とは、その時の解約返戻金を一時払い保険料として、保障期間を変えずに保障額を下げた契約に変更すること。変更後は、保険料の払込みを行う必要はない。
変更後の保険金額は元の保険金額より下がる。また、付帯されていた特約は消滅する
保険料の支払いが困難になった場合などの選択肢の1つとなる
延長(定期)保険への変更
延長(定期)保険とは、その時の解約返戻金を一時払い保険料として、保障額を変えずに定期保険に切り替えること。
変更後の保障期間は短くなる。また、付帯されていた特約は消滅する
保険料の支払いが困難になった場合などの選択肢の1つとなる
契約の変更
契約者の変更
契約者は第三者に変更することができる。ただし、被保険者と保険会社の同意が必要。
保険金受取人の変更
被保険者の同意があれば、保険会社に通知をすることで保険受取人の変更が可能。ただし、保険金の支払事由が発生した後は変更できない。
生命保険(2)個人向け商品
生命保険の分類
保険金の支払事由による分類
死亡保険(定期保険・終身保険など)
被保険者が死亡または高度障害になった場合に支払われる
生存保険(個人年金保険など)
被保険者が生存していた時に支払われる
生死混合保険(養老保険など)
被保険者が死亡または高度障害になった場合、満期まで生存していた場合に支払われる
保険金の金額の変動による分類
定額保険
資金が一般勘定で運用され、契約時に定めた保険金が支払われる
変額保険
資金が特別勘定で運用・管理され、保険金の金額が運用実績により変化
定期保険
定期保険
保険期間は一定で、被保険者が保険期間中に死亡または高度障害になった場合に保険金が支払われる。満期保険金はなく、基本、保険料は掛捨てとなる
生存給付金付定期保険
保険期間は一定で、被保険者が死亡・高度障害になった場合に死亡保険金が受け取れるのは定期保険と同じ。ただし、保証期間中に生存していれば2年・3年などの一定期間ごとに生存給付金を受け取ることができる
終身保険
終身保険
保障が一生涯続く保険。長期間保険料を払い込むと解約返戻金も多くなるので貯蓄性もあり、相続対策としても利用される。
試験対策としては、定期保険は掛捨て、終身保険は解約返戻金があるあことを覚えておきましょう
低解約返戻型終身保険
低解約返戻金型終身保険は、保険期間中の解約返戻金を低く設定した代わりに、保険料が割安に設定されてた終身保険。保険料払込期間後の解約は、終身保険と同じ水準の解約返戻金を受け取ることができる。
無選択型終身保険
無選択型終身保険は、契約の際に健康状態の告知や診査を必要としない保険。健康上の理由で終身保険に入れない場合でも加入可能となるが、保険料が高め(割高)に設定されている。
定期保険特約付終身保険
定期保険特約付終身保険は、終身保険を主契約とし、定期保険を特約で付加した保険。死亡保障は一生涯で、定期保険の特約の期間中に死亡した場合には、終身保険と定期保険の特約部分の保険金を合わせて受け取ることが可能。
定期保険特約部分については、更新型と全期型の2つがある。
更新型
特約部分は10年などの期間を区切って更新していく契約方法。同一条件での更新時は告知(診査)不要。ただし、特約部分の保険料は更新時の年齢で再計算されるため、保険料は上がる
全期型
全期間の定期保険を特約として付加する契約方法。更新型と比べて保険料は高くなるが、更新がないので保険料は全期間一定
アカウント型保険(利率変動型積立終身保険)
利率変動型積立終身保険は保険の積立部分と保障部分を分離した保険で、主契約の貯蓄性のある積立部分と、定期保険や医療保険などの保障部分から構成される。アカウント型保険とも呼ばれる。
契約後も必要に応じて新たな保障を追加したり、保障の種類を変更したりすることが可能。
積立部分の利率に対しては、下限(最低保障利率)が決まっているが利率は運用によって変化。
収入保障保険
被保険者が死亡した時に、死亡保険金を年金形式で受け取る保険。掛捨て。
保険金の受取期間が5年、10年と決まっている確定年金タイプと、65歳までといった歳満了年金タイプがある。
年金形式ではなく、一括で受取ることも可能だが、年金形式と比較して受取総額は少なくなる。
養老保険
養老保険は、保険期間内に死亡・高度障害になった場合でも、満期まで生存した場合でも同額の保険金額を受け取れる保険。貯蓄性が高い
学資保険
学資保険(こども保険)は、子供の教育資金などを準備するための保険。一般的に、被保険者は子供、契約者と受取人は親となる。
子供の入学などに合わせて祝金が、満期時に満期保険金が支払われる。契約者である親が死亡した場合は、以後の保険料は免除され、契約自体は継続となり祝金・満期保険金は支払われる。
受験対策としては、学資保険は要チェック
団体生命保険
総合福祉団体定期保険(Aグループ)
役員や従業員の死亡・高度障害を保障する定期保険。保険期間は1年。保険料は、企業や団体が全額負担する(全額損金に算入可能)。契約には被保険者となることの同意が必要。
定期保険であるため、貯蓄機能はない(退職金の準備などには使えない)
ヒューマンバリュー特約は、従業員の死亡による企業の経済的損失に備える保険
災害総合保障特約は、不慮の事故による災害時に障害・入院給付金が支払われる。受取人は被保険者または企業
団体定期保険(Bグループ)
従業員が任意に加入する保険で、1年更新(保険期間が1年)。個人で契約するより割安
受取人は従業員の遺族
団体信用生命保険
住宅ローン利用者に万一があったときにローン残債を弁済するための保険。保険金受取人は債権者である金融機関
試験対策としては、企業が加入するAグループ、個人が任意加入するBグループ、住宅ローンの団体信用生命保険(団信)と覚えておきましょう
かんぽ生命
かんぽ生命は、郵政民営化で新しく設立された生命保険会社。
- 新規加入限度額は、被保険者1人あたり満15歳以下700万円、満16歳以上1,000万円。ただし、被保険者が20歳以上55歳以下の場合、一定の条件のもと累計2,000万円まで加入可能
- 原則、70歳までの健康な人であれば告知のみで医師による診査は必要なし
- 職業による加入制限なし
- 加入後1年6ヶ月を経過し、不慮の事故で180以内の死亡、または特定感染症で死亡した場合は、保険金額の2倍が支払われる
共済
JA共済
農業協同組合(農林水産省が監督)の行う保険事業。加入者は、原則、組合員とその家族だが一般の人も准組合員として加入可能。
養老生命共済・終身共済・年金共済・医療共済・こども共済・自動車共済などがある
こくみん共済(旧全労済)
厚生労働省が監督している全国の労働者の組合である全国労働者共済生活協同組合が営む共済。組合員を対象としているが、一般の人も組合員になることで利用可能
原則、医師の診査は不要、掛金は一律
都道府県民共済
全国生活協同組合連合会が厚生労働省の監督のもとに、全国の多くの都道府県で実施している共済制度。
原則、医師の診査は不要、掛金は一律
以下は、個人年金保険の説明となる。個人年金保険は、一定の年齢から年金を受け取ることができる保険で、老後の生活の準備に活用できる。
終身年金
被保険が生存している限り年金が支払われる保険。一般的に、保険料は男性より女性の方が高い
保証期間付き終身年金
保証期間中に被保険者が死亡した場合には遺族に年金(または、死亡一時金)が支払われる。被保険者が生存している場合には、保証期間終了後も年金が支払われる
夫婦年金
夫婦を被保険者として、どちらか一方が生存している限り年金が支払われる
確定年金
あらかじめ定めた一定期間(10年、15年、20年など)中、年金が支払われる。なお、被保険者が受け取り期間中に死亡した場合には、遺族に年金(または、死亡一時金)が支払われる
有期年金
被保険者が生存していれば、一定期間(10年、15年、20年など)中、年金が支払われる。被保険者が受け取り期間中に死亡した場合は、受け取り期間が残っていても年金は支払われない
同条件で比較した場合、確定年金より保険料が安くなる
変額個人年金保険
特別勘定で資産の運用を行い、運用成果で年金額が変動する。運用期間中の死亡保険金も変動するが、最低保証(払済保険料相当額)がある
特別勘定による運用収益については、運用期間中は課税されず、解約時・年金支払い時まで課税は繰延られる
(ポイント)5年以内の解約時の税制上の取り扱い
一時払い変額個人年金保険を5年以内に解約した場合には、金融類似商品として差益は源泉分離課税の対象となる
解約返戻金に最低保証はない
外貨建て個人年金保険
保険料を外貨で払込み、保険金を外貨で受け取る保険
円換算支払特約を付加すれば、保険金を円貨で受け取ることができる
外貨建て個人年金保険も、要件を満たせば生命保険料控除の対象となる
生命保険(3)税金
生命保険料控除
確定申告することで、支払った保険料に応じて一定の所得控除を受けることができる。これにより、所得税と住民税が軽減される。
生命保険料控除は、一般の生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除の3つがある。
給与所得者の場合は、会社に生命保険料控除証明書を提出することで年末調整により控除を受けることができる。
対象となる保険
終身保険、定期保険などの一般の生命保険、生命共済、変額個人年金保険、外貨建て保険、特定(三大)疾病保証保険など
対象となる保険料
1年間の払込保険料の総額。保険受取人が納税者本人または配偶者、その他親族
対象となる保険
一定の要件を満たす個人年金保険(終身年金、確定年金、保証期間付終身年金など)条件は、以下の通り
- 個人年金保険料課税適格特約が付加されていること
- 年金受取人=被保険者で、契約者が被保険者本人か配偶者
- 保険料の払込期間が10年以上の契約である
(一時払いは、一般の生命保険控除の対象) - 60歳以上受給開始で10年以上の受給期間があること
試験対策として、個人年金保険料控除の条件はすべて覚えておきましょう。
対象となる保険
入院・通院を対象とする保険(医療保険、がん保険、介護保険、所得補償保険など)
対象となる保険料
2012年1月1日以降に契約したもの(それ以前は、一般の生命保険料控除のまま)。2012年1月1日以降に更新があった場合、2012年1月1日以降に特約を付加した場合も対象
控除金額は以下の通り
2011年12月31日以前の契約
所得税 | 住民税 | |
一般の生命保険料控除(上限) | 5万円 | 3.5万円 |
個人年金保険料控除(上限) | 5万円 | 3.5万円 |
合計 | 10万円 | 7万円 |
2012年1月1日以降の契約
所得税 | 住民税 | |
一般の生命保険料控除(上限) | 4万円 | 2.8万円 |
個人年金保険料控除(上限) | 4万円 | 2.8万円 |
介護医療保険料控除(上限) | 4万円 | 2.8万円 |
合計 | 12万円 | 7万円 |
旧契約と新契約の両方がある場合は、以下の3つから選択
- 2011年12月31日以前の契約のみ適用を受ける
- 2012年1月1日以後の契約のみ適用を受ける
- 両方の契約について適用を受ける
控除限度額は合算して所得税12万円、住民税7万円まで。3つの控除それぞれに対して新旧のどちらを適用するかを決め、合算する
新契約と旧契約の両方がある場合の計算は結構ややこしいです。とりあえず3種類を計算して有利なもの選択します。
死亡保険金に関する税金
契約者・被保険者・保険金受取人の組み合わせにより税金の種類が決定
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
A | A | Aの相続人 | 相続税(非課税枠あり) |
A | A | Aの相続人以外 | 相続税 |
A | B | A | 一時所得(所得税) |
A | B | C | 贈与税 |
500万円×法定相続人の人数
一時所得の金額=(受取保険金ー払込保険料総額)ー特別控除(50万円)
贈与税額=(受取保険金ー基礎控除110万円)×贈与税率
満期保険金・解約返戻金に関する税金
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
A | B | A | 一時所得(所得税) |
A | B | A以外 | 贈与税 |
試験対策としては、受取人が契約者なら所得税(一時所得)、違うなら贈与税
個人年金保険に関する税金
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
A | B | A | 雑所得(所得税) |
A | B | B | 年金支払い開始時にAからBに年金受給権が贈与されたと考えて贈与税、毎年受け取る年金は雑所得(所得税) |
その他
リビングニーズ特約 | 被保険が受け取る保険金は非課税(死亡後に残った現金は相続税の対象) |
入院保険金・生前給付保険金 | 非課税 |
契約者配当金 | 保険期間中に受け取るものは非課税。満期・解約で受け取る配当金は課税対象 |
解約返戻金 | 解約返戻金と払済保険料の差額が課税対象(一時所得) |
生命保険(4)法人の契約
法人契約の生命保険
役員向け保険 長期平準定期保険、逓増定期保険など
従業員向け保険 総合福祉団体定期保険(Aグループ)、養老保険など
長期平準定期保険
保険期間が長い定期保険。解約返戻金が高く貯蓄性があるが満期保険金はない。主に経営者向けに利用される商品で、被保険者は経営者等、受取人は法人として契約するのが一般的
- 保険期間満了時の被保険者の年齢が70歳超え
- 被保険者の契約時の年齢+保険期間×2が105を超える
逓増定期保険
期間の経過で補償額が逓増していく定期保険。経営者向け。満期までに当初の金額の最大5倍まで増加
逓減定期保険
期間の経過で補償額が逓減していく定期保険。保険料は一定。解約返戻金は少ない。
保険料の経理処理
経理処理の基本
貯蓄性のある保険料 → 資産計上
貯蓄性のない保険料 → 損金算入
前納保険料 → 資産計上し、期間ごとに取り崩し損金算入
特定の者のみを対象とする場合 → その者に対する給与または報酬扱い
試験対策としては、経理処理の基本は理解しておきましょう。基本、資産か損金のどちらかになります。
定期保険
以下の条件のどれかに該当する場合は、定期保険の保険料は全額損金算入される。
- 最高解約返戻金率が50%以下
- 最高解約返戻金率が70%以下、かつ、年間保険料相当額が30万円以下
- 保険期間が3年未満
それ以外は、解約返戻金率に応じて保険料の一定割合を資産計上し、残りを損金算入する。
一口メモ:積立機能のある定期保険は節税効果も高かったので、2019年10月に保険料の損金算入ルールが変更されています。
養老保険(ハーフタックスプラン)
ハーフタックスプランとは以下の契約形態の養老年金
契約者 | 法人 |
被保険者 | 役員または従業員 |
死亡保険金受取人 | 被保険者の親族(遺族) |
満期保険金受取人 | 法人 |
- 保険料の1/2を福利厚生費として損金算入。1/2を保険料積立金として資産計上
試験対策として、ハーフタックスプランは覚えておきましょう
個人年金保険
契約者 | 法人 |
被保険者 | 役員または従業員 |
死亡保険金受取人 | 被保険者の親族(遺族) |
年金受取人 | 法人 |
- $\frac{9}{10}$を資産計上。$\frac{1}{10}$を損金算入
保険金の経理処理
- 受取人が法人の場合
死亡保険金・満期保険金・解約返戻金を受け取った場合は、受け取った保険金を資産計上し、資産計上している保険料積立金を取り崩す。保険金>保険料積立金の場合は雑収入として益金算入、保険金<保険料積立金の場合は雑損失として損金算入する - 受取人が被保険者の遺族の場合
保険金が直接被保険者や遺族に支払われた場合は経理処理は不要。資産計上していたものがあれば取り崩して損金算入する