年収と幸福度の関係のグラフがなぜ曲線なのか考えてみる
最近、「年収800万円が幸福度の限界点」という記事を読んで、なぜそうなるのかを考えてみました。結論としては、人間の感覚が対数で表現できることに関連がありそうだという結論になりました。
年収と幸福度の関係について
「年収800万円が幸福度の限界点?年収と幸福度の関係とは」という記事があったので少し考察してみました。
ダイヤモンドオンラインにも同じような記事があります。
こちらの記事では年収と効用の関係というグラフがあります。
このグラフを見ると、年収が上がるにつれて効用(幸福度)の上がり方が少なくなっていることが示されています。
このグラフを見て「どこかで見たグラフと似ている?」と感じませんか?
このグラフ、$log(x)$のグラフにそっくりなんです。そこで「人間の5感は対数」ということを思い出しました。
人間の五感は対数
ヴェーバー・フェヒナーの法則によると、「人間の感覚(5感)は対数に比例して知覚される」となっています。
式で書くと、刺激量の強度Rに対する感覚量Eは、以下の式の関係になるということです(Cは定数)
$$
E = C log R
$$
「それってどういうこと?」と思うかもしれません。簡単にいうと刺激が10倍になると感覚量が2倍になるということです。
つまり、刺激が10→100に変化した時と同じと感じる感覚量は、刺激が100の場合は100→10,000にならないと感じられないということです。
これを実際にグラフにしてみます(先ほどの式でC=1のグラフです)。
年収と効用のグラフと結構似ていると思いませんか?
ヴェーバー・フェヒナーの法則は、聴覚や視覚といった五感に関する法則ですが、年収と幸福度に関しても、人間は同じような反応を示すようです。
結構面白いことだと思います。
ただ、「800万円が限界点」というのは言い過ぎだと思います。記事のグラフもそうですが、800万円を超えてもわずかに上昇しています。対数グラフを見ても上昇傾向は継続します。
「800万円くらいから幸福度の上昇が悪くなる」というのが正解だと思います。
グラフを見るとわかるように「500万円くらいから」でも「1,000万円くらいから」でもいい気がします。
言いたいことは、「収入は指数的に上がらないのに幸福度は対数的なので、年収を上げる努力に対して幸福度の上昇は感じにくくなるということで、800万くらいから収入を上げる努力に対して幸福度の上昇が見合わない」ということだ理解しました。
まとめ
個人的には、「感覚的なものは対数で考えるとしっくりすることが多い」と感じています。結局、人は刺激に対して絶対値ではなく相対値で感じるということだと思います(10が20になったでなく、2倍になったと感じるということです。これだと100は200にならないと同じように感じないことになります)。
今回、「年収と幸福度の関係」を見て、感覚が対数ということを思い出したので記事にしてみました。