独学で学ぶFP2級|不動産(5)
FP2級の学習(独学)に役立つ無料テキスト(教科書)を作成しました。このテキストはFP2級試験の幅広い範囲を網羅しており、効果的な学習の参考資料として活用できます。ぜひ、FP2級合格のために役立ててください。また、記事には、独自の試験対策コメントも入れていますので参考にしてください。
FP2級試験範囲を順に進めていきます。この記事では以下を取り上げます。
- 不動産の賃貸
- 不動産の有効活用
- 不動産の証券化
不動産の賃貸
不動産の賃貸に係る消費税(個人)
- 土地の1ヶ月未満の短期貸付をした場合の賃料
- 建物の1ヶ月未満の短期貸付をした場合の賃料
- 事業用建物の売買、貸付の賃料
その他ポイント
- 1998年4月1日以後に取得した建物の減価償却法は定額法に限られる
- 不動産所得の必要経費に参入できるのは、賃借収入を得るための直接的な費用のみ(税金の場合は、固定資産税や不動産所得税など)
- 支払日の定められている賃貸の場合、収入日は支払日となる(未払いの場合も支払日時点で収入金額に計上する)
- 事業的規模かどうかは、概ね5棟10室基準で定められる。事業的規模の場合、青色申告の控除額アップ等のメリットがある
不動産の有効活用
保有する不動産を活用する方法に関する内容です
有効活用の手法
比較表
説明 | 資金負担者 | |
自己建設方式 | 土地所有者が自身で企画・資金調達・建築・運営管理を行う方式 | 土地所有者 |
事業受託方式 | デベロッパー(開発業者)に委託して、企画・建築・運営管理を行う方式 | 土地所有者 |
土地信託方式 | 土地を信託銀行に預けて受益権を得る方法。企画・建築・運営管理を信託銀行が行う。信託期間終了後に土地・建物は土地所有者に戻る | 資金調達は信託銀行 |
等価交換方式 | 土地所有者とデベロッパーが共同して建物を建てる方式。土地所有者は土地を譲渡し、デベロッパーが資金を出す。双方の出資割合に応じて、完成した建物を所有する | デベロッパー |
定期借地権方式 | 土地を定期借地として貸して地代を受け取る方式。開発事業はデベロッパーが行う | ー |
建設協力金方式 | テナントから建設資金を借りて建物を建築する方式 | テナント |
自己建設方式
土地所有者が、自分で全てを行う方式。コストは安いが、その分負担も大きい。また、ノウハウも必要でリスクが大きい
事業受託方式
デベロッパーに土地活用を依頼する方式。専門知識がなくても土地活用が可能だが、資金調達等は土地所有者が行う必要がある
土地信託方式
信託銀行等に土地を預けて、運用実績に応じた信託配当を受け取る方式。専門知識がなくても土地活用が可能
等価交換方式
土地所有者は土地の一部や全部を譲渡、デベロッパーは建設資金を提供してマンションやビルなどを建設する方式。一部を譲渡する部分譲渡方式と、全部譲渡した後に出資割合に応じて土地建物を再取得する全部譲渡方式がある
土地所有者は事業資金を必要せず、リスクが小さいことが特徴だが、土地の一部を手放すことになる
定期借地権方式
土地を定期借地として一定期間貸し付ける方法。貸すだけなので事業資金は必要ないが、他の方式と比べると収益は少なめ
建設協力金方式
建物に入居するテナントから建設協力金を集めて、建物を建設しテナントに貸す方式。郊外のロードサイドの店舗に多い方式
不動産の活用例
- アパート・マンション経営
- オフィスビル経営
- 駐車場経営
※固定資産税に減税措置がないことに注意 - リーバースモーゲージ
不動産(自宅等)を担保にして融資を受け、持ち家(自宅)には継続して住み続け、借入人が死亡したときに担保となっていた不動産を処分して借入金を返済する仕組み。デメリットもあるため注意が必要
不動産の証券化
不動産の投資判断
不動産に投資するかどうかを判断する指標です
レバレッジ効果
不動産の収益率>借入金利の場合、借入を組み合わせることにより自己資金に対する収益率の向上が期待できることをレバレッジ効果という。
レバレッジ効果とは、「テコの原理」のこと。不動産の場合は、少ない資金で大きな収益を得ることをさす
例えば、自己資金が1,000万円、借入2,000万円で3,000万円の物件を購入した場合に、借入金の利息が4%であれば利息は80万円となる、3,000万円の物件の収益が8%だとすると240万円の収益となる。240万円ー80万円=160万円で、1,000万円の自己資本からみると実質の収益率は16%となる。これがレバレッジ効果である。
レバレッジ効果は、不動産投資の特徴の1つです
直接還元法
不動産の純収益を還元利回りで割り戻して求める方法
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現在価値 = \frac{総収益ー必要経費}{還元利回り}
$$
DCF法
DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法は、将来のキャッシュフロー(収入)を現在価値に割り戻して評価する方法。各期の純収益と、保有期間終了後(例えば10年後など)に得られる不動産の売却額(売却価格ー売却費用)を求め、それぞれ現在価値に割り戻して合計する方法。
DCF法は、さらにNPV法(正味現在価値法)とIRR法(内部収益率法)に分けられる
NPV法(正味現在価値法)
投資が生み出す収益と投資額を、現在価値に直して比較し、投資判断をする方法。収益の現在価値ー投資額の現在価値が0を上回る場合に、その投資は有利であると判断
IRR法(内部収益率法)
期待収益率が内部収益率を上回っている場合に、投資は不利と判断する方法。内部収益率は投資によって得られる収益の現在価値が投資額と一致する割引率のこと
単純利回りとNOI利回り(純利回り)
単純利回りとは、年間収入を投資額で割った利回り
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単純利回り(\%) = \frac{年間収入}{投資額} \times 100
$$
NOI利回りとは、年間収入から諸経費を引いた純収益を投資額で割った利回り。
$$
NOI利回り(\%) = \frac{年間収入 – 年間費用}{投資額} \times 100
$$