独学で学ぶFP2級|金融資産運用編(2)
FP2級の学習(独学)に役立つ無料テキスト(教科書)を作成しました。このテキストはFP2級試験の幅広い範囲を網羅しており、効果的な学習の参考資料として活用できます。ぜひ、FP2級合格のために役立ててください。また、記事には、独自の試験対策コメントも入れていますので参考にしてください。
FP2級試験範囲を順に進めていきます。この記事では以下を取り上げます。
- 預貯金・金融類似商品等
- 投資信託(1)分類
- 投資信託(2)アクティブ運用とパッシブ運用など
- 投資信託(3)その他
預貯金・金融類似商品等
固定金利・変動金利
固定金利 預金した時の金利が満期まで変わらない
変動金利 市場金利の変動に応じて一定期間ごとに金利が見直される
市場金利の局面次第で、どちらが有利かは変化する
例えば、金利下降局面では固定金利が有利となる
単利・複利
単利
預入当初の元本に対してのみ利子を計算
$満期時の元利合計=元本\times\biggl(1+\frac{年利率}{100}\times期間\biggr)$
複利
一定期間ごとに利息が元本に組み込まれ利子を計算
利息が支払われる期間により、1年複利、半年複利、1ヶ月複利などがある
$満期時の元利合計=元本\times\biggl(1+\frac{年利率}{100}\biggr)^{期間}$
一般的に、金利は年間利率で表記されます(3ヶ月の期間限定でも年利率10%という表記を見かけたことがあるかと思います)
銀行預金
銀行預金の分類は以下のとおり
普通預金
変動金利。決済口座として利用可能
貯蓄預金
変動金利(預金残高によっても金利が変動)。給与・年金・配当金の自動受取講座、公共料金の自動振替には利用できない(決済機能はない)
当座預金
利息のつかない決済用預金。「無利息」「要求払い」「決済サービスを提供できること」の3つの条件を満足し、個人でも法人でも利用できる
スーパー定期預金
固定金利。3年未満は単利のみ。3年以上は単利と半年複利から選択(半年複利は個人のみ利用可能)。途中解約可能(中途解約金利が適用される)
大口定期預金
固定金利。単利。預入金額1,000万円以上
期日指定定期預金
固定金利。入金後に据置期間経過後から最長預入期日までの間で任意の日を満期日として指定できる
変動金利定期預金
変動金利。半年ごとに金利の見直しがある。いつでも解約可能(中途解約金利が適用される)
仕組預金
オプション取引などのデリパティブを組み込んだ預金。通常の貯金より高い金利を受け取ることができる。預入の短縮や延長を金融機関の判断で行うことが可能
仕組預金に関しては、社会問題に発展したことがあり「デリバティブ預金」の販売停止まで追い込まれたことがあります
たしか、顧客への説明不十分が理由だっと記憶しています
また、取引がない期間が10年以上経過した預貯金を休眠預貯金と言い、休眠預貯金等活用法に民間公益活動に活用される(金融機関の窓口で手続きをすれば引き出し可能)
ゆうちょ銀行
- 通常貯金
変動金利。銀行の普通預金に相当 - 定期貯金
固定金利。あらかじめ預入期間を指定(最長5年)。1,000円以上で1,000円単位で預入可能。3年未満は単利のみ、3・4・5年は半年複利のみ。 - 定額貯金
固定金利。半年複利。最長預入期限は10年
通常貯金と定額制貯金それぞれ1,300万円、合計2,600万円までの預入限度額がある
1,300万円まで預入可能ですが、破綻時保証されるのは元本1,000万円とその利息までですので注意が必要です
金(GOLD)投資
実物資産として安定した価値があり、資産の1つとして利用されている。過去は、金を通貨の基準する金本位制度で、金の保有量と同額の紙幣が発行されていた。
投資信託(1)分類
投資信託とは
投資信託とは、投資家から集めたお金を運用の専門家が投資・運用する商品。投資する対象や投資方法などにより様々な種類がある
投資信託は運用成績により利益が得られることもあれば、損失が出る場合もある(元本が保証されている金融商品ではない)
投資信託の分類
設立パターンによる分類:契約型投資信託と会社型投資信託(投資法人)
設立形態の違いにより、契約型と会社型(投資法人)の2種類がある。
現在は、「契約型」が主流
契約型
委託者指図型の契約型投資信託は、販売会社が募集・目論見書・運用報告書の交付を行う。受託会社が集めた資金を保管し、委託会社が受託会社に運用を指図することで運用する
会社型(投資法人)
資産の運用のみを目的として設立された法人により運用。代表的は投資法人は不動産投資信託(J-REIT)
追加可否による分類:追加型と単位型投資信託
追加型(オープン型)
運用開始後いつでも購入可能。運用期限は無期限と有期限がある
単位型(ユニット型、クローズ型)
購入は当初の募集期間中のみ。信託期間は有期限
投資対象による分類:公社債投資信託、株式投資信託
公社債投資信託
株式は一切組み入れられず、国債や社債などの債券(公社債)を中心に運用
株式投資信託
株式を組み入れて運用することができる投資信託(実際には株式を組み入れていないこともある)
解約の可否による分類:オープン・エンド型、クローズド・エンド型
オープン・エンド型
投資家の払戻の請求がいつでも可能
クローズド・エンド型
投資家の払戻による請求ができない。投資家は、証券取引所を通じて売却することで換金を行う。REIT(不動産投資信託)などが該当
投資家の対象による分類:公募投資信託、私募投資信託
公募投資信託
不特定多数の投資家に向けて募集する投資信託
私募投資信託
特定の機関投資家、または、少数投資家に販売することを目的とした投信信託
投資信託の種類
上場投資信託(ETF・J-REIT)
証券所に上場されて取引されている投資信託のことを上場投資信託と呼ぶ。株式同様に売買することが可能。上場投資信託としてはETF、REIT(J-REIT)がある
ETF(上場投資信託)
日経平均やTOPIX、ダウ平均といった特定の指数と連動するように運用されるもので、取引所に上場している。上場株式と同様に銘柄コードが付与されており、取引時間中にリアルタイムに取引できる
J-REIT(不動産投資信託証券)
オフィスビルや商業施設、マンションなどの複数の不動産を購入し、賃貸収入や売買益を投資家に分配するもの。クローズド・エンド型。投資法人が分配可能所得の90%超を分配すれば法人税がかからない
MMF, MRF(公社債投資信託)
MMF(マネー・マネージメント・ファンド)
円建ての公社債や短期の金融商品を中心に運用するオープン型の投資信託
MRF(マネーリザーブ・ファンド)
円建ての短期金融商品及び残存期間の短い公社債を中心に運用するオープン型の投資信託。証券会社の総合口座で株式、債券、投資信託などの決済に利用。元本保証はないが、投資信託委託会社が保証することも認められている。MMFより短期で高格付けの債券等で運用
その他
ファンド・オブ・ファンズ
複数の投資信託を投資信託を投資対象とする投資信託。通常は株や債券、不動産などに投資を行うが、ファンド・オブ・ファンズは投資信託に投資する
通貨選択型
株式や債券などの投資対象とは異なる通貨を選択して投資することが可能な投資信託。為替ヘッジを利用することで従来の投資信託を超える収益を目指したもの
投資信託(2)アクティブ運用とパッシブ運用など
アクティブ運用とパッシブ運用
パッシブ運用(インデックス運用)
日経平均やTOPIXといったインデックス(ベンチマーク)に連動するように運用する方法。インデックス型投資信託とも呼ばれる
アクティブ運用
ベンチマークを上回る運用成果を目指す投資信託。一般的に、インデックス型と比較して運用管理費用(信託報酬)が高い
アクティブ運用は、上回る運用成果を「目指す」だけで、必ず上回るわけではありません。上回ることもあれば、下回ることもありえます
トップダウンとボトムアップアプローチ
トップダウンアプローチ
経済成長率、物価、金利、為替動向などのマクロ経済から分析して投資の枠組みを決定し、個別の組み入れ銘柄を決定していく運用方法。大枠を決めてから、細かな部分を決めていくという方法
ボトムアップアプローチ
個別企業の業績や財務指標を分析・比較検討し、組み入れる銘柄を決定していくアプローチ。個別企業から積み上げていくという方法
バリュー投資、グロース投資
バリュー投資
株価純資産倍率(PER)や株価収益率(PBR)などの指標を分析し、割安だと判断される銘柄に投資
グロース投資
成長性が期待される銘柄に投資。PERやPBRが多少低くても今後の成長を期待
ブル型・ベア型
ブルは強気、ベアは弱気の意味。ブル型・ベア型の投資信託の中には、レバレッジを活用したものも多く、例えば日経平均の変動率の2倍の値動きに連動する商品などもある。
ブル型 相場が上昇している時に利益が出るように設計
例)株価(指数)が上昇すると、ブル型ファンドは基準価格が上昇
ベア型 相場が下落しているときに利益が出るように設計
例)株価(指数)が下落すると、ベア型ファンドは基準価格が上昇
投資信託(3)その他
投資信託のコスト
購入時手数料(販売手数料)
購入時に販売会社に支払う費用。ファンドや販売会社によって費用がない(ノーロード)の場合もある
信託報酬(運用管理費用)
信託報酬とは、投資信託を運用・管理してもらうための経費として支払う費用。投資信託を保有している間、投資信託の保有額に応じて毎日差し引かれる
信託財産留保額
投資信託を解約する際に投資家が支払う費用。購入時に徴収されることもある。信託財産に留保される。解約にかかるコストを解約する人が負担するもの
解約・買取
解約請求
販売会社を通じて、投資信託の一部の解約を請求することで換金する方法
買取請求
販売会社に投資信託の買取を請求することで換金する方法
目論見書・運用報告書
投資信託を設定・販売する場合は、投資家に対する情報開示(ディスクロージャー)が義務付けられている。委託会社(運用をしている会社)は、目論見書や運用報告書を作成する義務がある。また、販売会社は、投資信託を販売する際に目論見書を交付し、説明する義務がある。
目論見書
投資信託の購入判断に必要な情報・重要事項が記載された説明書。交付目論見書は購入前、または購入と同時に交付しなければならない。請求目論見書は、請求があったときに交付しなければならない
運用報告書
投資信託の運用状況や運用方針などが記載されており、決算ごとに発行される
「交付目論見書は購入前、または購入と同時に交付しなければならない」ため、ネット証券などで投資信託を購入する場合、目論見書などを開いて確認のチェックをしないと購入に進めないような仕組みが導入されています。
トータルリターン通知制度
投資家が保有している投資信託について、損益を把握できるようにトータルリターンを通知する制度。販売会社が作成し、年1回以上通知しなければならない。2014年12月より導入された。
トータルリターン =
評価金額 + 売却累計額 +
分配金累計額 ー 買付累計額
ネット証券などでは、トータルリターンを把握できるページが設けられています。口座を持っている方は実際に確認してみましょう。