独学で学ぶFP2級|タックスプランニング(8)
FP2級の学習(独学)に役立つ無料テキスト(教科書)を作成しました。このテキストはFP2級試験の幅広い範囲を網羅しており、効果的な学習の参考資料として活用できます。ぜひ、FP2級合格のために役立ててください。また、記事には、独自の試験対策コメントも入れていますので参考にしてください。
FP2級試験範囲を順に進めていきます。この記事では以下を取り上げます。
- 消費税
消費税
消費税とは
消費税は、商品の販売はサービスの提供などの取引に対して課税される間接税。消費税と地方消費税がある
課税対象(課税取引と非課税取引)
課税取引
日本国内で、事業者が事業として対価を得て行う譲渡、貸付、役務の提供に課税
非課税取引
社会政策上の観点から課税対象としない「非課税取引」と、課税要件を満たさない「不課税取引」がある
- 土地の譲渡、および、貸付
- 有価証券等の譲渡
- 支払い手段の譲渡(約束手形などの譲渡)
- 預貯金の利子、保険料
- 切手、商品券、プリペイドカードの譲渡
- 個人間での居住用の建物貸付や譲渡
- 寄付金、祝金、見舞金
- 保険金など
- 国等からの補助金、助成金
税率
税率は以下の通り。課税期間は、原則として法人の場合は事業年度。個人事業者の場合は1月1日から12月31日
消費税率 7.8% 地方消費税 2.2% 合計10%
軽減税率の対象
・酒類・外食を除く飲食料品
・定期購読で週2回以上発行される新聞
納税義務者
課税基幹の基準期間での課税売上高が1,000万円以下の事業者は、免税事業者となり消費税の納税が免除される。基準期間は、法人の場合は前々事業年度(2年度前)、個人事業主の場合は前々年(2年前)
- 基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円(または、支払給与の総額が1,000万円)を超えた場合は、課税事業者となる。特定期間とは、法人の場合は事業年度の前半6ヶ月、個人事業主の場合は1月1日から6月30日までのこと
- 新設法人は、原則として第1期目は免税事業者となるが、資本金または出資の金額が1,000万円以上の場合、課税事業者となる
免税事業者であっても、「消費税課税事業者選択届出書」を納税地の所轄税務署に提出することで課税事業者となることを選択することができる
免税事業者の場合、仕入れ等にかかった消費税額が控除できないため、還付を受けれる場合であっても還付を受けることができません。還付を受けるために、あえて課税事業者を選択することか可能です。
納付税額の計算
原則課税制度
消費税額 = 課税売上高に係る消費税額 ー 課税仕入額に係る消費税額
原則として、受け取った消費税額と支払った消費税額の差額が消費税額となります。
簡易課税制度
基準期間の売上高が5,0000万円以下の事業者は、「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することで、簡易課税制度を受けることができる。
簡易課税制度では、事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められたみなし仕入率を乗じて算出した金額を仕入に係る消費税額として課税売上高に係る消費税額から控除することができる。
なお、簡易課税制度を選択した場合は、廃業等のやむを得ない場合を除き、2年間継続したあとでなければ原則課税制度に戻すことができない
消費税額 = 課税売上高に係る消費税額 ー 課税売上高に係る消費税額×みなし仕入率
以下はみなし事業区分ごとのみなし仕入れ率です
事業区分 | みなし仕入率 | 具体的な事業の例 |
---|---|---|
第1種 | 90% | 卸売業 |
第2種 | 80% | 小売業、農業・林業・漁業(食用) |
第3種 | 70% | 農業・林業・漁業(食用以外)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業 |
第4種 | 60% | 第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業(飲食業など) |
第5種 | 50% | 運輸通信業、金融業および保険業、サービス業(飲食店業以外) |
第6種 | 40% | 不動産業 |
消費税の申告と納付
法人は、原則として、事業年度終了日以後2ヶ月以内に申告・納税を行う
個人事業主の場合は、翌年の1月1日から3月31日までに申告と納税を行う
試験対策としては、所得税は2月16日から3月15日までなので、期間を間違わないように注意しましょう。
前の課税期間に納めた消費税額が48万円を超える場合、中間申告が必要となる。また、中間申告の回数は、前の課税期間の消費税額で決まる
インボイス制度
インボイス制度とは
インボイス制度は、2023年10月1日に導入された制度
インボイスとは「適格請求書」のことで、インボイス制度では、インボイスを受け取った場合のみ仕入税額控除を行えるようになる
適格請求書発行業者
インボイス(適格請求書)を発行できるのは、適格請求書発行業者に限られる
- 登録申請書を税務署に提出すること
- インボイスを発行・保存するためのシステムを構築していること
※電子メール、電子取引でインボイスを交付・受領した場合は、電子帳簿保存法に定められた電子保存の要件も満たす必要がある
インボイス制度の補足
- 登録事業者は、買手から求められた場合は、インボイスを交付しなければならない。また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要がある(7年間)
- 仕入税額控除を受けるために、売手から受け取ったインボイスを保存してお行かなければならない(7年間)
経過措置
インボイス制度は、開始から6年間の経過措置が設けられています。
- 仕入れ先がインボイス発行者ではない場合でも、課税事業者は仕入税額の一定割合を控除可能
- 2023年10月1日〜2026年9月30日まで80%
- 2026年10月1日〜2029年9月30日まで50%
- 少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくとも一定の事項を記載した帳簿の保存のみで控除可能(基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者が対象)