独学で学ぶFP2級|タックスプランニング(7)
FP2級の学習(独学)に役立つ無料テキスト(教科書)を作成しました。このテキストはFP2級試験の幅広い範囲を網羅しており、効果的な学習の参考資料として活用できます。ぜひ、FP2級合格のために役立ててください。また、記事には、独自の試験対策コメントも入れていますので参考にしてください。
FP2級試験範囲を順に進めていきます。この記事では以下を取り上げます。
- 個人住民税
- 個人事業税
- 法人税
個人住民税
個人住民税(住民税)とは
個人住民税とは、前年1年間の所得に対して課税される税金で、道府県民税と市町村民税の2種類に分かれる
東京都は、都民税、東京23区は特別区民税となります
住民税は、地方公共団体が税額を決定する賦課課税方式(申告納税方式ではない)
納税義務者
その年の1月1日現在、都道府県内および市町村内に居住の者
税額
個人住民税 = 均等割 + 所得割
均等割
原則、所得金額にかかわらず定額
所得割
前年度の所得金額に応じて課税。一律10%(道府県民税4%、市町村民税6%)
住民税の基礎控除は、43万円です(所得税は48万円)。また、社会保険料控除や扶養控除なども異なります。とりあえず、異なるということは覚えておいてください
ふるさと納税
ふるさと納税は、地方公共団体に対する寄付のうち2,000円を超える金額について、たの寄付金と合わせて総所得金額の30%までを限度として、所得税と住民税であわせて全額が控除される制度
寄付金額から2,000円を超えた分のうち、所得税で所得控除で控除される分以外は、住民税から控除される
個人事業税
個人事業税とは
個人事業税とは、事業を営む個人(個人事業主)が都道府県へ支払う地方税。翌年の3月15日までに都道府県に納付する
対象者
事業所得または不動産所得(事業規模)のある者
税額
控除額は290万円(事業所得が290万円以下の場合、課税されない)。税率は事業の区分により3〜5%
事業税額 = (事業所得等の金額 ー 控除額)×税率
試験対策としては、個人住民税、個人事業税は過去の出題頻度が少ないため、どのような問題が出るか不明です。
個人事業税は経費として計上できます。
法人税
法人税とは
法人税とは、法人の所得に課税される国税。申告納税方式。
納税義務者
法人(株式会社、合資会社、合同会社、医療法人、共同組合など)
※公益法人は納税義務なし
事業年度
原則として、各法人が定款に定めた会計期間が事業年度となる
所得税とは異なり、期間は法人毎に任意期間です
納税地
納税地は、原則として、法人の本店または主たる事務所の所在地となる。納付先は納税地の所轄税税務庁
法人税の税率
法人税の税率は、法人の種類によって異なる比例税率
普通法人の税率は以下の通り
普通法人の税率
区分 | 税率 | |
資本金1億円以下 | 年800万円以下の部分 | 15% |
年800万円超の部分 | 23.2% | |
上記以外 | 23.2% |
法人税の申告と納付
法人税の申告と納付
法人税の申告期限は、原則として、事業年度終了の翌日から2ヶ月以内。納付期限も同じ
青色申告
青色申告を受けようとする事業年度開始の日の前日までに、「青色申告承認申請書を」提出する(新規設立した法人の場合は、設立日以後3ヶ月を経過した日と最初の事業年度終了のどちらか早い日の前日まで)
青色申告を行う場合のメリットは以下の通り
- 欠損金の繰越控除
繰越期間の上限は10年 - 欠損金の繰戻還付
法人税の計算
法人税の対象となる金額は、益金から損金を引いた差額となる
法人税法上の益金・損金と、会計上の収益・費用は一部異なります。法人税の計算では、損益計算書の利益を調整して法人税を計算することになります。これを申告調整といいます。
申告調整では以下の4つの調整が行われる
益金算入
会計上の収益ではないが、税法上は益金となるものを加算
損金不算入
会計上の費用だが、税法上の損金にならないものを加算。法人税、法人住民税、延滞税、交通反則金など
益金不算入
会計上では収益だが、税制上の益金とならないものを減算
損益算入
会計上は費用ではないが、税制上の損金となるものを減算。法人事業税、固定資産税、都市計画税、貸倒引当金、登録免許税、印紙税、消費税など
試験対策として、損益不算入の法人税、法人住民税などは、法人税の計算に法人税が算入されるのはおかしいので直感的に理解できるかと思います
益金
受取配当金等の益金不算入
法人が、内国法人から株式等の配当金を受け取った場合、会計上は収益となるが法人税法では一定の条件で損益不算入となる
- 完全子会社(持ち株比率100%)
全額損益不算入 - 関連法人株式等(持株比率3分の1超〜100%未満)
原則、全額損益不算入 - ①②④以外(持株比率5%超〜3分の1以下)
50%を損益不算入 - 非支配目的株式等(持株比率5%以下)
20%損益不算入
損金
役員給与
次の以下に該当する場合は損金算入できる
- 定期同額給与
1ヶ月以下の一定期間ごとに支給される定額給与。税務署への事前届出は不要 - 事前確定届出給与
所定の時期に確定した額を支給する旨の定めに基づいて支給される給与。あらかじめ税務署への届出が必要 - 業績連動給与
非同族会社において、業務執行役員に対して業績に連動して支払う給与。 - 役員退職給与
役員に対して支給する退職給与。算定方法としては、最終報酬月額×役員在任年数に功績倍率を乗じる功績倍率方式などがある
- 上記の役員給与のうち、不相当に高額な部分
- 事前確定届出給与として事前に届け出た金額より多い金額を支給した場合の全額
交際費
交際費とは、得意先などの業務に関係する者などに対する接待、贈答などの支出のこと。交際費は、原則として損金不算入だが、一定の範囲について損金算入可能
- 中小企業(資本金1億円以下で大企業の完全子会社ではない会社)
交際費のうち飲食費の50%、または、800万円までの交際費のいずれか有利な方を選択 - 中小企業以外
飲食費の50%
以下のものは全額損金算入が可能
- 1人あたり1万円以下となる得意先等との一定の飲食費
- 会議のための茶菓子・弁当などの飲食物(会議費)
- 従業員の慰安のための社内旅行等の費用(福利厚生費)
- 広告宣伝用のカレンダーや手帳(広告宣伝費)
減価償却費
減価償却とは、数年にわたって利用する固定資産を購入した場合に、購入額を耐用年数に合わせて分割し、期ごとに費用計上すること
減価償却の方法には、定額法と定率法が存在する。減価償却の方法は、基本的には資産ごとに決められている(法定償却方法という)。法定償却法以外で償却を行う場合には所轄の税務署へ届出を提出する
定額法 毎年、同じ額を減価償却費として計上する方法
定率法 毎年の残高に一定の償却率を乗じて減価償却費を計算する方法
少額の減価償却資産について
- 使用期間1年未満または取得価格10万円未満の少額の原価償却資産は、使用した事業年度で全額損益算入可能
- 取得価格10万円以上20万円未満の一括償却資産については、3年間で均等償却可能
- 中小法人または個人事業主が取得した30万円未満の少額減価償却資産については、年間合計額300万円まで全額損金算入可能
租税公課
法人が負担する税金で損金算入できるものとできないもの
- 損金算入
- 法人事業税
- 固定資産税
- 都市計画税
- 不動産取得税
- 印紙税
- 登録免許税
- 消費税など
- 損金不算入
- 法人税
- 法人住民税
- 加算税
- 延滞税
- 過怠税
- 罰金、過料など
試験対策として、租税公課については、最低限、赤文字は覚えておきましょう