失業保険の基本手当だけだと暮らせない|思わぬ落とし穴に注意
会社を辞めて失業した場合、失業保険の基本手当を受給することができます。基本手当だけでとりあえず生活できる?ここでは、基本手当の額と、離職時に発生する支出から生活費を計算してみました。
失業保険の基本手当
会社を辞めて失業した場合、失業保険の基本手当を受給することができます。
自己都合退職の場合、失業給付金を受け取るまで2ヶ月以上のタイムラグがあります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
失業中の基本手当は大変ありがたいのですが、離職中の思わぬ出費のために基本手当では生活できないことがあります。
この記事では、基本手当の額と失業して発生する支出などについて解説します
基本手当の上限
失業保険では、離職時の賃金に基づいて基本手当の額を算定しています。
給付率は最大で働いていたときの給与の8割となっていますが上限があります。
例えば、50代の場合、賃金日額の上限は16,980円です。6ヶ月(180日)の賃金の平均なので、月の給与で計算すると、以下になります。
16,980円×30日=509.400円
つまり、月収が509,400円を超えると基本手当の日額は8,490円になります。年収で600万〜700万を超えると上限額になることになります。
50代だと年収600万を超える方も多いと思うので、基本手当が上限額になる方は多いと思います。
基本手当は28日毎に支給されますが、30日で計算すると254,700円となります。
50代の場合、月に約25万円支給されると考えることができます。
賃金日額の上限額 | 基本手当日額の上限額 | |
29歳以下 | 13,890円 | 6,945円 |
30~44歳 | 15,430円 | 7,715円 |
45~59歳 | 16,980円 | 8,490円 |
60~64歳 | 16,210円 | 7,294円 |
とりあえず、50代で失業した場合、約25万円の給付をうけることができるとします。
払わなければならないもの
健康保険(国民健康保険)
離職すると、会社の健康保険を任意継続するか、国民健康保険に加入するかを選ばなければなりません。
多くの場合、健康保険を任意継続した方が安くなります。
健康保険も前年度の収入をベースに計算されますが、任意継続の場合は上限額が設けられています。
私の加入していた健康保険の場合、月々約4万円の保険料になりました。
とりあえず、健康保険は月4万円とします
国民年金
厚生年金から国民年金への切り替えが必要になります。こちらは、1人あたり16,590円(2023年)です。夫婦の場合は、16,590円×2人分になります。
失業した場合には、国民年金は免除を受けることができますが、その分受け取る年金が減るので注意が必要です。
とりあえず、国民年金は月1.7万円とします
住民税
住民税は、前年度の収入に対して支払う必要があるため、失業しても支払う必要があります。私の場合は、金額で月4~5万円の間くらいでした。
これも一定の条件を満たせば減免を受けることができます。詳しくは市町村の窓口に問い合わせてください。
とりあえず、住民税が月4万円とします
離職後に必要となる出費については以下の記事を参考にしてください
上記を引いた残金は約15万円
失業給付(25万)ー健康保険(4万円)ー国民年金(1.7万円)ー住民税(4万円)=15.3万円となります。
離職して支払わなければならない金額を除くと、約15万円です。
月収50万(手取りで40万円)と比較すると、約1/3です。失業保険だけで生活する場合は、この額で生活する必要があります。
家賃、光熱費、食費・・・、これまでの生活と比較するとかなり厳しいです。
不足分を補うために
求職中の生活費の不足を補う方法としては以下のようなものが考えられます。
普段から(あらかじめ)蓄えておく
もしものことを考えて、あらかじめ蓄えておくという方法です。年齢が上がると仕事がなかなか見つからないこともあります。
失業給付がもらえるまでの約3ヶ月+不足分の生活費程度は最低限貯蓄しておくことをお勧めします。
可能なら1〜3年程度の生活費を貯蓄しておくことをお勧めします。
俗に言う「生活防衛資金」というものです
一般的に3ヶ月〜3年分の生活費程度と言われますね。
失業中もアルバイト
雇用保険の基本手当は受給条件を満たしていれば受給することができます。
つまり、受給条件を満たす範囲であれば、アルバイトやパートを行なっても問題ありません。失業期間のアルバイトについての目安を以下に書きます。
- 待機期間の7日間はNG
- 給付制限期間〜はOK
- 1週間の所定労働時間が20時間以上はNG
- 31日以上の雇用が見込まれる場合もNG
- 1日4時間以上の労働はNG
上記以外にも細かな決まりがありますので、詳しくはハローワークで尋ねてください。
まとめ
この記事では、基本手当の上限額と、失業して支払わなければならなくなる社会保障費や税金について解説しました。
基本手当の額だけ計算していて、必要な出費を考えていないと失業給付での生活が厳しくなります。
失業した場合に「もらえる額」と「増える支出」について把握しておくことが大切です。