退職後の公的保険・国民年金・住民税はいくらぐらい?手続きと概算方法を解説
退職後に発生する支出についてご存じでしょうか?
意外な出費とは、公的保険・国民年金・住民税の3つです。これまでは天引きで支払っていたのであまり意識していなかったかもしれませんが、退職後はこれらを自身で支払う必要があります。
- 退職後の公的保険・国民年金・住民税の支払いについて知りたい
- 上記について、実際に早期退職した人の話を聞きたい
私は、ファイナンシャル・プランナーの知識として知いたので、あらかじめ必要な金額を計算し、退職前に準備していました。3つを合わせると結構な金額になるので、準備してなければ大変だったかもしれません。
退職時に気をつけるべき3つの支出
次の勤め先が決まっていない状態で退職すると、結構大きな支出となるものが3つあります。具体的には、以下の3つです。
- 公的保険(健康保険、国民健康保険)
- 国民年金保険
- 住民税
特に、公的保険の費用は退職時の所得又は前年度の所得、住民税は前年度の所得で決まります。退職して収入がなくなったとしても、在職時の所得から計算されるため意外と大きな金額となってしまいます。
この3つの出費について意外と知らない人が多いです
在職時の所得から計算されるものは額も大きいので、退職前に概算でいいので計算し、必要額を用意しておきましょう
公的保険
退職時に次の仕事が決まっていない場合、次の仕事が決まるまでの期間は、自分でなんらかの公的保険に加入する必要があります。
加入先として選べる選択肢は以下の2つです。
- 会社の健康保険を任意継続
- 国民健康保険に加入
どちらを選ぶかは自分で決めます。
健康保険の任意継続
この時、検討すべきは、「健康保険の任意継続」と「国民健康保険」のどちらが費用が少ないかということです。
任意継続は、退職の翌日から20日以内に加入申請をしなければならないという期限がありますので、先に任意継続の手続きの確認をしておきましょう。
任意継続では勤めていた会社の健康保険に継続して加入することになります。
目安は、在職時に支払っていた保険料です。
給与明細で確認する場合は、会社負担がありますので給与明細に記載された保険料の2倍が1ヶ月の支払い額の目安となります。1年間の支払いは、その額を12倍した額になります。
日頃確認していない方もいるかもしれませんが、健康保険の保険料は結構高いです
なお、任意継続の場合の保険料の支払額には上限が設定されています。
給与明細に記載された保険料の2倍が上限を超える場合は、上限の支払いとなります。
50代などで退職する場合は、おそらく上限にかかることが多いと思います。
私も、退職時は上限より支払っていたので、任意継続の保険料は上限になりました。
上限があるので、現職時の保険料より少なくなるのはありがたいですね。
無職で収入がない期間の保険料の支払いが抑えられるのはありがたいです
国民健康保険
もう一つの選択肢である国民健康保険の保険料は、お住まいの市の公式ウェブサイトなどで確認できます。
私の場合、福岡市に住んでいるので、市のウェブサイトでおおよその金額を確認しました。
自身の住んでいる地域の情報をチェックしてみることをおすすめします。
地域によって違いがあるので、市町村でチェックすることをお勧めします。
どちらが得か
私の場合になりますが、それぞれを計算して比較した結果、任意継続の方が国民健康保険と比較して安く済むことがわかり、任意継続を選択しました。
私の場合、計算すると国民健康保険は、任意継続の倍額くらいでした
すごい違いですね!
どちらが得かは、年収などによって異なると思います。自身について必ず確認してください(だいたいの場合は、任意継続が得みたいです)
任意継続は条件に注意
なお、任意継続するには以下の条件があります。
- 被保険者の年齢が75歳未満
- 資格喪失日の前日までに被保険者の期間が2ヶ月以上(継続して2ヶ月以上)
- 退職日の翌日から20日以内に加入申請をする
- 加入期間は2年間
特に申請可能な期間には気をつけましょう。
「気づいたら20日超えてた」みたいなことが無いようにしましょう。
ところで、保険証が届くまでの期間に、病院にかかったときはどうするの?
基本は、全額建て替えしておいて、後日申請により還付すると形になるみたいです
国民年金
退職後に次の仕事にすぐに就かない場合は、厚生年金保険から国民年金保険への切り替えが必要になります。
配偶者がいる場合で、3号被保険者だった場合は、そちらも手続きが必要ですので注意してください
会社に勤めていた時は、年金の保険料は自動的に給与から天引きされていたと思いますが、退職後は自分で支払う必要があります。
手続きの詳細は、日本年金機構のウェブサイトに記載されています。
私の場合、退職して国民年金に入るので、「1.国民年金第2号被保険者である配偶者の被扶養者にならない場合」→「(1)会社を月末にやめた場合」というケースに当てはまり、国民年金第1号の資格取得手続きが必要でした。
この手続きには、離職票などの資格喪失日を証明する書類が必要です。離職票は、退職後に受け取ることができます。
私の場合は、退職後10日ほどで郵送で届きました(差し出し人は勤めていた会社でした)。
手続きは、市区町村の役所で行うか、オンラインでの電子申請になります。私は、オンラインで電子申請してみました。
オンライン申請の手順
電子申請では、マイナンバーカードが必要となります。また、マイナポータルへの登録も必要です。
マイナンバーカードがなければ、まずカードを作るか、役所で手続きするかになります。
マイナンバーカードを作るのには時間がかかることがあるので、役所で申請が良いですね
また、電子申請では、離職票をスキャンして電子データに変換する必要もあります。
私の場合は手持ちのスキャナーを使用しました。コンビニなどでもスキャンできますので、スキャナーがなければそれを利用すれば良いでしょう。
マイナポータルに登録していれば、申請はかなり簡単です。
申請後、翌日に受付完了の通知がきました。
ただ、支払手続きなどの資料の到着まで2週間近くかかりました
受付完了から支払い用紙がくるまで長かったのでちょっと心配になりました
申請がサクッとできたので、逆にちゃんと受理されているか心配になりましたよね。
支払手続き用の資料に振込用紙が同梱されていますので、この用紙を使って保険料を支払うことができます。
現在の国民年金の保険料は、1カ月あたり16,520円(令和5年度現在)です。
年単位で考えると、かなりの支出が必要ですが、年金制度を維持するためには必要な支出です。
どうしても払えない場合は、猶予制度を使うことができます。詳しくは年金事務所に問い合わせてください
住民税
天引きされていた住民税も、源泉徴収から普通徴収に切り替わります。
普通徴収の場合、市区町村から振込用紙が送付されてくるので、振込用紙を用いた支払いが必要となります。
金額は前年度の所得に基づいて計算されます。
大まかに言えば、所得の約10%なので、前年度の給与次第では結構な金額になります。
退職前の給与明細のに書かれている住民税の額を見ると、おおよその住民税の額がわかります
私の場合、5月退職した後、7月中旬に振り込み用紙が送られてきました。
予想はしていましたが、金額はかなり大きかったです。
ふるさと納税を活用していたので、その分は控除されているとは言え、かなりの額でした
銀行からの引き落とし申請ができたので、引き落とし申請して手続きは終了です。
住民税は、6月、8月、10月、1月の年4回に分けて支払うことになります。数ヶ月分をまとめて支払うことになるので注意が必要です。
3つの中で、住民税が最も額面が大きかったです
かなりインパクトがあるので、住民税は要注意です
まとめ
会社員は、源泉徴収されるので健康保険、年金、住民税をあまり意識しないのではないでしょうか。
退職した場合は、これらを自身で支払う必要があります。
特に、前年度の所得で計算される健康保険と住民税の支払いは要注意です。国民年金に関しては、猶予制度を活用することができるかもしれません。制度を利用したい場合は、年金事務所や市区役所で相談してみることをおすすめします。
ちなみに、共働きの場合は扶養に入る選択肢もあります。
ただし、扶養に入ると雇用保険の失業給付を受ける資格がなくなってしまうことがあります。この点は注意しましょう。