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毎月分配型投資信託の損得は?18年間の運用結果から考察

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tadanori
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この記事のまとめ
  • 長期投資目的には、毎月分配型投資信託は向かない
  • 取り崩す場合も、必要な額だけ自分で解約したほうが良いと思う(個人的意見)
  • 取り崩すつもり&都度解約するのが面倒であれば、毎月分配型も選択肢になるかも

毎月分配型の投資信託って?

毎月分配型投資信託って何?

毎月分配型の投資信託は、毎月収益が投資家に分配される投資信託です。投資信託で投資しておけば、毎月収益が分配されるので、定期に現金として受け取りたい人に向いた商品として人気があります。

分配金は本当に収益か?

毎月分配型の投資信託では、毎月のように分配金がもらえますが、これには特別分配金というのが含まれていることに注意が必要です。普通配当金特別分配金の違いは以下の通りです。

  • 普通分配金:個別元本を上回る部分からの分配金。投資したお金に対する収益だと考えてOK。
  • 特別配当金:個別元本を下回る部分からの分配金。投資したお金を切り崩して受け取った分配金になります。受け取ると、個別元本が減少!

簡単にいえば、例えば、一定額を毎月分配する投資信託の場合、運用成績が月の分配金より良い場合ば、普通分配金(利益の分配)を受け取りますが、運用成績が悪い場合は特別分配金として元本を切り崩したお金を受け取ることになります。

ある
ある

特別分配金は元本の切り崩し

例えば、日本株への投資信託などの場合、日本株が上昇している間は普通分配金が支払われますが、下落している場合は特別分配が支払われ元本が目減りすることになります。よく、雑誌などに、「毎月分配型に投資していたら、元本が半分に!」などというタイトルの記事が書かれていますが、これは、特別分配金として切り崩されたために発生したものです(もちろん、暴落などにより目減りした部分もあったりしますが)。

ただ、毎月分配型投資信託も悪なわけではなく、その特性をよく理解したうえで利用する分には毎月一定額が入金されるので良いとは思いますが、そのあたりが理解できていない金融リテラシの低い人に売りつけるのはどうかと思います。

毎月分配型に投資している場合、毎月の分配金のうちいくらが特別分配金なのかちゃんと記載された報告書が届きます。これをちゃんとチェックしておくと良いかと思います。

ある
ある

個人的には毎月分配型はおすすめしません。

取り崩す場合も、分配金として毎月受け取らずに、必要な額を解約した方が良いと思います。

分配金を再投資したら

毎月分配型投資信託も、分配金を再投資することができます。Yahoo!ニュースかどこかの記事のコメントで「毎月分配型は再投資すれば再投資分も増えてお得」みたいなものがありました。これって本当でしょうか? 

結論から言うと、Noです。確かに、特別分配金を再投資すれば元本が目減りすることは無いように思われます。実は、再投資する場合に問題となるのは普通分配金のほうだったりします。

普通分配金を受け取る場合は、20.315%の税金(所得税15.315%、住民税5%、復興特別所得税込み)が引かれます。つまり、配当を受けるたびに約20%が税金として引かれて目減りすることになります。

もし、分配していなければ、税金も引かれないので20%の部分にも今後の収益が期待できます。

と言うことで、普通分配金を再投資すると「税金分だけ運用資金が減る」ことになります。長期で投資する場合は、複利で考えると結構大きな差になるので、毎月分配+再投資で資産の長期運用するのはあまり良い選択とはいえません。

ある
ある

分配金再投資しても、長い目で見るとマイナスです。

実際に毎月分配型を長期運用して得られた経験

私自身、毎月分配型で長期投資をしています

上に書いた通り、私自身、毎月分配投資信託を購入し、ずっと保有し続けています。

購入した当時は金融リテラシがまだ低く、銀行で勧められるがままに購入してしまいました。途中で、分配金を再投資するように変更し、10年以上毎月分配型を再投資で運用しています

銀行の職員のおすすめにそのまま乗ってしまうというよくあるパターンですが、当時は知識が少なく、ちゃんと理解せずに購入してしまうというなんとも残念な状態です。

ファイナンシャル・プランナーの資格などを取り、ちゃんとした知識がついてから、毎月分配型はあまり良い選択ではないと気づいたのですが、その時は運用している資産全担からみるとそれほど大きな額ではなくなっていたので、そのまま保有し続けることにしました。

また、類似の商品の毎月分配型ではない商品も購入していたので、両者を実際に比較することができました。

毎月分配型は不利だと言われていますが、実際に運用してみると、そのデメリットをよく把握することができました。実体験はやはり強いです

気になる運用成績は?

ずいぶん昔の話なので期間などはうる覚えですが、毎月分配型の投資信託として購入したのは以下になります。

投資信託名:ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)

運用期間:約18年。うち記録をつけているのは2013年8月〜2023年7月現在(継続中)

収益を記録している10年間の期間で見ると、毎月分配型の投資信託の運用益は約+52%でした。同じラサール・グローバルREITファンドには一年決算型というタイプもあり、調べてみると、そちらは設定開始から(2014年〜)の実績で、約+100%の運用成績です。

1年だけ期間が異なるため単純に比較するのは難しいですが、毎月分配型では普通分配金が出るたびに約20%の税金が差し引かれるという影響で収益で負けてしまったようです。

ある
ある

追記:1年決算型も1年毎に配当があるので税金は引かれますが、それでも毎月分散型よりましみたいです。また、分配金を出す方針も少し違うみたいです。

例えば、1万円のうち1,000円を分配すると、税金が引かれた800円が再投資に回るので、9,800円になってしまいます。例えば、次の月に基準価格が1%上がったとしても、分配していなければ+100円のところ、分配した場合は+98円を2円の差が生じます。長期で考えると、これが累積して大きな差になるわけです。

実際には、毎月分配型では再投資により元本が増えるため、最終的に投資信託を売却した際の税金は低く抑えられます。しかし、分配型が+50%で非分配+100%の運用成績だとした場合、投資額が100万円であれば、それぞれの150万円200万円になっています。

ここから、税引き後の手元に入るお金を計算してみます。

いくつか仮定が必要ですが、もし、分配型の元本が再投資により150万円になったと想定すると、解約時に税金は取られないので150万円を受け取ることができます(税金を前払いしていると考えることもできます)。

一方、分配が無いほうは、利益の100万のうち20%が税金として引かれて180万円を受け取れることになります。

ある
ある

差引30万円の差になります。

この例だと、税引き後で考えても、長期でみると利益の面で不利なことがわかります。

ちなみに、私が実際に運用している商品も、購入額累計と評価額がほぼ同じなので、上の例のように解約時にはほとんど税金は取られない状態です。

ある
ある

長期投資で考えると、毎月分配型は損

長期投資目的なら、毎月分配型はやめたほうがいいね

以上、身銭を切って10年以上検証した結果です。

まとめ

とりあえず、長期運用を考えた場合、再投資を選択しても毎月分配型は保有する資産として向いていないと思います。ほとんどの資産クラスに、毎月分配型があるものは、同じような商品で分配なしのものがあると思いますので、分配されない方を選ぶようにしましょう。

実際、私もこの1商品以外で毎月分配型は購入せず、インデックスなどの低コストの商品を選ぶようにしています。

何度も書きますが、毎月分配型は長期投資には向かないと思います。

取り崩す用途なら良いかと言えば、個人的には「必要な額を、必要な時に」取り崩した方が良いと思います。

取り崩したいけど、自動で口座に振り込まれる給与感覚で受け取りたいという方には、毎月分配型は向いているのかもしれません。

以上、実際の体験を交えながら毎月分配型投資信託について解説しました。自分の失敗経験から、ひとに勧められるままではなく、自分で考えて商品を選ばないといけないと強く感じています。

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ある/Aru
ある/Aru
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)/ 博士(情報工学)
2023年5月に54歳で早期退職。自分の時間ができたのでブログを開設。本職はITエンジニア(専門はデータ分析・機械学習)だが、ファイナンシャル・プランナー(CFP®)資格も保有し活動中。投資歴は20年以上。
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