ポートフォリオの資産配分の決め方|myINDEXを使った方法を解説
資産運用のポートフォリオはどのように決めればよいでしょうか?この記事では、私がポートフォリオをどのように組み立てているのかについて説明し、資産配分ツール(マイインデックス)を使ったポートフォリオ作成の仕方を解説します
- 資産運用で、どのような商品に投資するか悩んでいる方
- ポートフォリオというものがどういうものか知りたい方
- どういう方針で資産配分すればよいのか知りたい方
- ポートフォリオの作り方を知りたい方
特に、資産のポートフォリオの作成に興味がある方は是非読んでみてください。
まずは資産運用の基本
資産を増やす3つの方法
資産を増やす方法には大きく3つがあります。
- 収入を増やす
- 支出を減らす
- 資産を運用する
収入を増やす
1つ目は、働いて得られる収入を増やすことです。
以前は、昇給・転職などでしたが、現在では、副業で増やすという方法も一般的です。
ただ、収入を増やそうと無理をして心身の健康を害さないように注意する必要があります。
心身の健康が悪くなると、結局総収入は減ってしまうことになるかもしれません。
支出を減らす
収入を増やすより取り組みやすいのは、2つ目の支出を減らすことです。
定期の支出(ネットの定額サービスやスマホ代など)は、長期で考えるとかなりの出費になりますので、見直し候補になります。
また、光熱費や外食費、交際費なども見直しやすい項目です。
とりあえず、現状把握が大切です。いま、「何に」「いくら」使っているのかを把握しましょう。
そこから、無駄な支出をチェックし削減していきます。
ただ、無理はしないことです。無理な削減は、どこかに歪みを発生させてしまいます。
「使うものには使う、必要ないものには使わない」とメリハリをつけた支出がおすすめです。
切り詰めるだけだと、ストレスが溜まってしまいます
定期支出の見直しは効果が高いです
例えば、複数の動画サイトに加入している場合は、1つか2つに絞るだけでもかなり節約になりますね。
サブスクリプションのような定期サービスは、可能であれば「年払い」にすることで支払い総額を減らすことができます。
スマホも、割安なMVNOを活用すれば、月々の料金を減らすことが可能だね
まずは、無理せずに減らせる支出を探してみましょう。
資産を運用する
収入ー支出がプラスであれば、貯蓄が増えていきます。
資産運用は、このお金に働いてもらうことです。
運用益がたとえ数%だとしても、長期でみれば大きな額になります。
この記事では、資産の運用にポートフォリオを活用する方法を紹介します。
ポートフォリオの基本
投資ポートフォリオとは
投資のポートフォリオは、リスクを分散させるために重要なものです。ポートフォリオによって、「どの資産に」「どれくらいの金額」を投資するのかを決定します。
ポートフォリオを作成すれば、運用のリターンとリスクがある程度決定します。
リスクとリターンのバランス
投資ポートフォリオを構築する場合、リスクとリターンを考慮することが重要です。
一般的に、リターンを大きくしようとすれば、リスクも大きくなります。
リスクとリターンのバランスをとることが重要です。
リスクとリターンを考えるとき、以下が重要になります。
- 目標(リターン)を明確化する
- 自身のリスク許容度を知る
まず自身の目標(リターン)を明確化します。
目標(リターン)を明確化する
目標を明確にします。例えば、「65歳までに2000万を用意する」するなどです。
月々5万円を20万円投資するとすると約6.5%の年利が必要です。
この6.5%が目標のリターンになります。
目標積立額と積立期間、利率を入力して、月々の積立額を計算してくれるページが金融広報中央委員会の「知るぽると」にありますので、自身の目標に対して計算してみるとよいでしょう。
自身のリスク許容度を知る
リターンと違って、リスクの許容度を確認するのは難しいです。
まずは、「リスク許容度チェック」などのキーワードでウェブ検索して、見つかったサイトを使ってリスク許容度チェックをいくつかやってみましょう。
そうすると、なんとなく自分のリスク許容度が見えてきます。
または、「100万円投資していて、90万になった、半分になった」などを想像して、自分がどこまで許容できそうかイメージしてみます。
経験でいえば、自身が考えているよりリスク許容度は低いです。
リスク分散
「卵は1つのカゴに盛るな」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
投資ではよく言われる言葉で、カゴを落とした時に全部の卵が割れてしまうかもしれないので、複数のカゴに分けておくということから、資産も1つに集中させるより、複数に分散したほうがよいということを表しています。
時間の分散
投資タイミングの分散です。積立投資を行う場合は、時間の分散が自動的に行われます
資産(アセット)の分散
現金、株式、債券、不動産、コモディティなどの資産の分散です
地域の分散
日本、米国、先進国、エマージングといった地域の分散です
銘柄の分散
株式投資だけを考えても、1つの銘柄に投資せずに、複数の銘柄に投資することで分散効果が期待できます。
銘柄も、投資先を同一業種ではなく別業種にすることで業種を分散することができます。
このように、株式だけをとっても分散を考えることができます。
銘柄の分散については、日経225などのインデックスに広く投資する投資信託に投資することで自動的に分散させることができます。
どれか1つではなく、時間・資産・地域の3つの分散を合わせて検討することで、幅広いリスク分散を行うことができます。
アセットアロケーション(資産クラスの選択)
自身のリスク許容度とリターン、資産の分散について理解したら、いよいよ資産クラスの選択です。アセットアロケーションでは、資産のクラスを理解しておく必要があります。
代表的な資産クラス
- 現金
手持ちの現金、銀行預金などです - 株式
国内株式・外国株式(米国株、先進国、エマージング)などがあります。一般的に、リターンは大きいですが、リスクも大きめです - 債券
国債・外国債(先進国、エマージング)などがあります。国や地方自治体、企業が資金調達のために発行する証券です。満期まで持てば額面+利子が受け取れますが、途中売却をおこなう場合は金利の影響を受けます。また、倒産などのリスクがあります。債券は、株式と比較するとリターン・リスクともに低めです(ジャンク債は除く) - 不動産
ここでは、不動産そのものではなく、REITなどの株式市場に上場しているものを対象に考えます。 - その他
その他として、コモディティ・金などがあります
実際にポートフォリオを作る
先ほどの「月々5万円で20年積み立てて2000万」を目標としてリターンが6.4%前後になるポートフォリオを作成してみます。ポートフォリオ作成には、myIndexの「資産配分ツール」を使わせていただきました。
リスクはポートフォリオを作りながら確認することにします
myIndexの使い方はこちらの記事に書いていますので参考にしてください。
ポートフォリを検討(試行錯誤)
ツールを使えばポートフォリオを試行錯誤することができます。
現金100%のポートフォリオ
現金 | 100% |
まず、現金100%で考えます。リスクは0%ですが、低金利なのでリターンが0.1%と目標にとどきません。
リスクに対する超過リターンを測る指標です。以下の式で計算します。
$$
シャープレシオ=\frac{ポートフォリオのリターン-無リスク資産のリターン}{ポートフォリオのリスク}
$$
大きいほど「リスクに対してリターンが大きい」=効率が良いと考えることができます。
日本株100%のポートフォリオ
日本株 | 100% |
日本株100%にすると、平均リターンが6.3%と目標の6.4%に近づきました。ただ、日本株だけに投資なので地域も資産も分散できていません。
この例で実際に計算してみます
$$
\frac{6.3-0.1}{16.8} \risingdotseq 0.369
$$
となり、約0.37となります(図のシャープレシオと一致します)
日本株20%, 米国株40%, 先進国株40%のポートフォリオ
日本株 | 20% |
米国株 | 40% |
先進国株 | 40% |
地域分散を考慮して日本株:米国株:先進国株=20%:40%:40%のポートフォリオを作成してみました。平均リターンが10%と目標を大きく上回りました。ただ、リスクも17.3%と高いです。
このリターンとリスクの場合、年間のリターンは約95.5%の確率で-24.6%〜44.6%に入ることになります。
金額になおすと1000万円が754万〜1446万円になる可能性があるということです。
これが許容できるかどうかがリスク許容度になります。
日本株10%,米国株20%,先進国株20%, 日本債券10%, 先進国債券40%のポートフォリオ
日本株 | 10% |
米国株 | 20% |
先進国株 | 20% |
日本債券 | 10% |
先進国債券 | 40% |
先ほどのポートフォリオでは、リターンが目標を大きく超えていました。リターンは小さくなりますが、資産分散を考えて株と債券を50%:50%にするポートフォリオを考えました。地域の分散は、日本:海外=10%:40%にしています。
すると、平均リターンが6.9%のポートフォリオとなりました。
目標に対してリターンがまだ高めなので、もう少し資産配分を変更してリスクを減らしてみます。
現金15%, 日本株10%,米国株20%,先進国株20%, 日本債券10%, 先進国債券25%のポートフォリオ
現金 | 15% |
日本株 | 10% |
米国株 | 20% |
先進国株 | 20% |
日本債券 | 10% |
先進国債券 | 25% |
先進国債券を15%減らして、現金に振り分けてみました。平均リターンは6.4%と狙ったリターンになりました。
注目すべきはリスクです
リスクは10.1%となり、日本株100%よりもリターンは高く、リスクは低下しています。これが分散投資のメリットです。
このポートフォリオの場合、年間のリターンは約95.5%の確率で-24.6%〜44.6%に入ることになります。このポートフォリオの場合、年間のリターンは約95.5%の確率で-13.8%〜26.6%の範囲になります。
これが、自身のリスク許容度として許容できるかどうかですが、ある程度のリターンを得るにはリスクも取らなければならないので、リスクを下げたければ目標リターンを小さくすることを考える必要もあるかもしれません。
こうやってポートフォリオを作っていくと、「リスクがないけど高金利」という商品がいかに怪しいかわかりますね。
ポートフォリオを作るのは、自身の金融リテラシ向上にも役立ちますね。
現金15%, 日本株10%,米国株20%,先進国株20%, 日本債券15%, 先進国債券15%,金5%のポートフォリオ
現金 | 15% |
日本株 | 10% |
米国株 | 20% |
先進国株 | 20% |
日本債券 | 15% |
先進国債券 | 15% |
金 | 5% |
先ほどのポートフォリオに金を5%加え、債券のバランスを変えたものです。
平均リターンは増加し、リスクは減少しています。このような感じで少しだけ違う資産に分散投資することでリターンを上げて、リスクを減らすことができます。
ポートフォリオ作成の重要なポイント
ここでは、資産配分ツールを使ってポートフォリをを検討していますが、ポートフォリオの平均リターンとリスクは、「過去20年実績データ」をもとに計算されたものだということに注意する必要があります。
これまでの実績ベースのデータなので目安にはなりますが、これからの20年を保証するものではありません。
ですから、ポートフォリオのリスクとリターンの最適化を一生懸命頑張るより、ある程度の目安として作成することが重要です。
あくまでも目安であるという点を理解して、資産配分ツールを活用しましょう
また、好きな資産・嫌いな資産がある場合には、自分の好みに従って作成することをおすすめします。
わざわざ分散のために、入れたくない資産を入れる必要はないです。
ちなみに、今回はエマージングとコモディティ、REITを意識して外しました。
理由は、特にエマージングが先進国との相関が高い割には、シャープレシオが低い(リスクが大きいのにリターンが小さい)からです。
このように、自分の投資に対する考えをポートフォリオに入れ込むのも重要です。
エマージングを外したのは、私の考え方です。
どの資産を組み入れて、どの資産を組み入れないかは、自身で決めましょう。
ポートフォリオに合わせて積立投資する
投資額、目標、ポートフォリオが決まれば戦略は決まっている
月々の投資額、目標、ポートフォリオが決まったら投資戦略はすでに決まっていますので、ポートフォリオの配分に合わせて銘柄を組み合わせて投資します。
個人的は、投資信託を組み合わせるのが手軽だと思います。
リバランスは定期的に行おう
投資していると、利益や損失が出てポートフォリオと実際の資産配分が変わってきます。
多すぎの資産を売って、少なくなっている資産を購入し、ポートフォリオのバランスに修正することを「リバランス」と言います。
1年に一回は、資産の配分を確認し、極端に設定したポートフォリオと異なる場合はリバランスを行いましょう。
なお、資産の売却・購入によるリバランス以外にも、積立割合を変更してリバランスする方法もありますが、私は売却・購入によるリバランスを行っています。
売却・購入すると、利益が出ている場合は税金がかかるので、1、2回の積立割合を変更して調整できるなら、購入割合を変えてリバラスするほうがいいかもしれません。
ポートフォリオも見直そう
年齢や投資経験、目標の変化、資産の状況などにより、ポートフォリオも見直すべきです。
例えば、予想以上に運用がうまくいって10年目で目標以上の資産が築けている場合は、リスクを抑えたポートフォリオに変更するのも1つの考え方です。
目標も変化するかもしれません。
典型的な見直しパターンは、「年齢と共に安全資産を増やす」というものです。
年齢が高くなると「時間分散できる期間が短くなる」ので、リスクを減らそうという考え方です。
一度決めたポートフォリオは絶対ではなく、変化させてもよいという意識を持ちましょう。
まとめ
資産運用でのポートフォリオの大切さを説明し、実際に目標を設定してポートフォリオを組みたててみました。
運用は長期戦です。目標設定と目標に合わせた運用が大切です。ポートフォリオを活用しましょう。